書評

『Who You Are』という本を読んで得た組織文化についての学びのまとめ

組織文化における形成・維持・拡大というそれぞれのフェーズに対し、歴史的な事象から考察をしている本です。「結局チームや組織を動かすのはリーダーが何者なのか、そしてどう行動するのかにかかっている」

久しぶりに読んだビジネス本についての簡単なまとめ記事です。購入したきっかけはこちらのブログです。

blog 出典: yamotty.tokyo

ちなみに読んでみた感想としてはまだ僕には早かったかなという印象です。内容は組織文化についてを取り扱っている本なので、会社・事業を興す以外にチームやプロジェクトのリーダー的な立場にある人にはおすすめできる本です。Amazonリンクはこちら

内容の簡単なまとめ
  • 文化の形成
  • 文化の維持
  • 文化の拡大
  • (上記の3項目を踏まえて)文化のデザイン

組織文化における3つのフェーズにそれぞれ焦点を当てて考察されています。歴史という具体的な事象から何かしらの示唆を導き出している点が本書の特徴です。続いてそれらを総合して理想的な文化をデザインするためのヒントが示されています。

そして最後にこれまでの内容を総評する形で最後の章があるという構成です。個人的には最後の章だけ読むだけでも十分実りのある内容になっているのではと感じました。今の自分に転用ができる内容だと感じました。

「信用」について

自分も含めて多くの人にとって有益と思われるので、最後の章の内容ですがこの記事では冒頭に取り上げることにします。前提としてステークホルダーに対し正直でいることはその組織の発展にとって長期的には大きく寄与する一方、次の理由から失敗や悪い出来事を正直に伝えるのは非常に難しいとされています。

  • 組織全体として士気が下がる
  • 引いては脱退につながる

正直で居続けるための方策

悪い現実でもそこにポジティブな新しい意味付けを行うことで、奮起・今後の躍進の芽とすることができる。

現実に新しい意味を持たせるための鍵
  • 事実をはっきりと述べる
  • 失敗を認め、これを繰り返さない教訓を示す
  • 理由を説明する

悪い知らせを素早く把握するための方策

良い出来事は放っておいても耳に入ってくるが、悪い出来事はギリギリまで隠蔽され取り返しのつかない形になって初めて顕在化することが多々ある。持っておくべき心掛けとしてポジティブなことが起こったとき同時に、悪いことが起きていると思っておくことが大事だと感じた。

  • 報告を受けたとき、ポジティブな反応をとるようにする
  • 日頃から探す: ex.改善点・問題点を都度聞く
  • システムとして組み込む: ex. 経営会議の入場料として白状させる
  • 人ではなく課題とその根本原因に焦点を当てる: ex. 背景にはその人自体ではなく、コミュニケーション不足や優先順位の付け方に問題がある場合がある
悪い出来事が隠蔽される理由
  • 解決策を伴わない報告は無責任な印象を与えかねない: 与えられた裁量・情報量の範囲から、構造的に解決不可能な場合もある。
  • 長期的目標と短期的なインセンティブの競合
  • 叱責への抵抗

忠誠

一般に企業や組織に対するロイヤリティ(忠誠心)は欠かせないものである一方、それを定着させるのは難しい。

忠誠を促す土壌は人間関係の質にある
  • 前提として企業や、直属の上司が自らの味方である思っていなければ忠誠心は生まれない
  • 「メンバーにとってどのような見返りがあり、その代わりに何を期待されるのか」お互いの約束を明確にする

総まとめ

文化は、あなたが何に一番価値を見出すかを知ることから始まる。その価値観を反映する行動を組織の全員が実践できるように、リーダーは努力し続けなければならない。行動規範があやふやだったり、頓挫つで邪魔にならないものなら、それを変えなければならない。そして何より社員の行動に最新の注意を払い、自分の行動には一層注意しなければならない。あなたの行動は企業文化にどう影響しているのか?あなたは自分のなりたい人間になっているか?

Who You areより引用

エッセンス

文化のデザイン

リーダーの性格と取るべき戦略に沿ったものである必要がある。

文化の刷り込み

第一印象の重要性を認識する。第一印象を偶然に任せないで、戦略的に植え付ける。

ショッキングなルール・文化規範

思わず理由を聞いてみたくなるルールは文化をより強化し、注目を引く。

外部のリーダーシップ

馴染みのない文化を自力で目指すより、理想の文化を熟知した外部者を連れてきた方がいい

言行一致

行動には言葉以上の重みがある。言葉で定義された文化規範・倫理規範は実際に体現されてはじめて意味がある。

倫理規範の明確化

曖昧にしてはならない

組織文化における各フェーズについての考察

文化の形成

奴隷身分が革命を成功させた唯一の例とも言えるハイチ革命の指導者、トゥサンルベルチュールを例に考察されていました。

①既存の文化の持つ強みを生かす

既に浸透している文化を組み合わせて、自身の軍隊の結束力、ひいては練度向上に活用した。

人間はこれまでとは違う文化規範を容易に受け入れない。そのため、土台のないところに新しい文化を醸成することは難しい。状況がうまくいかない時はすでに浸透している文化の持つ強みを容易に捨て去らず、適切に評価し方向性を検討する必要がある。

②型破りなルール

ルベルチュールは戦時は当たり前とされていた愛人の禁止を軍隊のルールとして定めたことで、婚姻契約の尊重すなわち「信頼」を大事にするという文化を浸透させた。

効果的なルールを定めることで上手く文化を定着させることができる。効果的なルールは次のような特徴がある。

  • 記憶に残るもの
  • なぜ?と感じるもの
  • 文化に直接影響するもの
  • 毎日使うもの
③服装

裸でいた兵士に質が高く見栄えの良い軍服を支給した。これはエリート戦闘員としての意識を植え付けるため。

毎日使うものや目に止まりやすいものを工夫することで、意図した文化の醸成に活用することができる。

④外部文化の取り込み

征服した地域の指導者を殺さずに自軍に取り込んだ。

自前の文化で間に合わせようと考えるのではなく、参入したい地域や領域に精通したリーダー及び文化を積極的に取り込むことが効果的

⑤文化の体現

直感とは真逆の判断は文化に大きく影響する。最優先の事項を

⑥言行の一致

リーダーの本当の価値観が反映されたものでなければ文化は定着しない。リーダーの行動によって、リーダーが手本になることで文化は作られる。

⑦モラルの明確化

末端の兵士にもモラルを強く求めて実践させた。結果、黒人と混血市民が収める地域であっても農産物の生産量をピーク時に近い水準まで回復させることに成功した。

誠実さや善良さといったモラルは文化への長期的な投資になる一方で、短期的には業績の下降や人材の流出につながることもあるため実践が難しい。

健全な文化の維持・存続

文化は何を説くかではなく、何をするかによって規定される
組織文化はトップの価値観とそこから生まれる行動が強く反映される
組織文化はそれに関わるステークホルダーにも波及する

文化の拡大

広大な土地・民族を支配したモンゴル帝国の初代皇帝、チンギス=ハンを例に考察されていました。

思想信条よりも実用性

チンギス・ハンは「実力主義」・「忠誠心」・「多様性」という3つの原則を土台にして他に類を見ない安定した文化を築き上げた

実力主義

血縁による階級制度を廃止し〜貴族社会を支配していた無能な人間や凡人を排除し、軍の能力を大幅に引き上げ、野心ある兵士が勇気と知性を証明すればリーダーになれることを示し彼らを鼓舞した。

忠誠心

内部の人間と接する時と同じ倫理で外部の人間と接することを要求した。宿敵を裏切った宿敵の手下に対しても褒賞を与えるのではなく処罰した。

多様性

かつての敵兵であっても高度な文明・技術・知識を持つ人材は重用した。結果、技術的に進んだ戦闘力を築いた。また、世界で初めてとされる宗教の自由や征服した民族を養子に迎え入れるなど多様性を促す規範を多く法律に取り入れ、征服先の民族からも大きな忠誠を得た。

文化のデザイン

自分らしく

前提として文化は組織のニーズや取るべき戦略にマッチしている必要がある。その上で、リーダー自身の素のありようや得意・好きなことを中心に据えなければ、その文化は容易に有名無実化する事になる。

自身の抱える欠点について

性格上の欠点を打ち消したり対抗策となるような施策を行うことでこれを解決する。

採用基準について

「初期に誰をメンバーとして迎え入れるか」と「その後に出来上がる組織文化」とは密接に関わっている。そのため、理想とする組織文化に沿ってメンバーに対してどのような性質を求めるのか、すなわち採用基準を定めておくのが理にかなっている

  • 誰を雇うか・どのような性質を求めるかは組織文化を大きく左右する
  • 社員に求める性質と組織理念を一致させること(言行一致)でその文化はより強化される

行動規範について

定めようとする行動規範の有効性を考える切り口として次の3つが例として挙げられている

実行可能性

その規範は具体的な行動として体現されるか否か。実質が伴っていて(言行一致)初めて意味がある。

独自性

全てが独自のものである必要はないが、業界や他の会社が同じことをしているのなら敢えてその文化を強調する必要はない。

その規範に自分は相応しいか

その規範を組織のトップたる自分が守れるか否か

読んでいただきありがとうございます!!

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